ポーランドの心 映画


ポーランドの心」といえば、やはりポーランドの映画です。確かに映画はあくまでも架空世界であり、そこに描かれた世界が全て事実ではありませんが、さまざまな映画の主人公は、性格や態度などからして、「やっぱりポーランド人らしいなあ」と思うことがよくあります。それでは、「ポーランドの心」を伝える映画とは何どのような作品でしょうか。


1960年に、『Krzyżacy 』という映画は公開されました。ヘンリク・シェンキェヴィチという有名なポーランドの作家が書いた小説をもとに作成され、15世紀のポーランドとドイツ騎士団の国との戦争を焦点とした映画です。卑屈なドイツ人に対して、ポーランド人は情け深く、助けを願ってくる人に手を貸し、敵に襲われたとき、お互いに支え合いながら、勇気を出して戦う人として描写されましたこの作品は公開されたとき、すぐ大ヒットになり、封切り日から現在まで数えると、およそ320万人のポーランド人を映画館で集めたので、ポーランドで最も有名な映画だと言われています。更におもしろいことに、シェンキェヴィチの作品が非常によく映画化され、『Potop』、『W pustyni i w puszczy』などの映画も国内で幅広い人気を得ました。たぶんシェンキェヴィチは「ポーランドの心」の真の意味を知っていたのでしょうか。


『Krzyżacy』
ところで、ポーランド人はコメディーが大好きです。1968年の『Sami swoi』という映画は今でもよく知られており、だいたい毎年クリスマスにテレビで放送されるほど大きな人気があります。『Sami swoi』は第2次世界大戦直後のポーランドのある村が舞台にして、二つのけんかする家族を語っています。けんかの原因は些細なことにもかかわらず、戦争前から十数年にわたって「絶対許せない」という気持ちでいがみ合う家族の話は笑わせてくれますが、主要登場人物たちの態度について少し考えると、やはりポーランド人は何であってもけんかで絶対負けないという態度を取りがちなので、『Sami swoi』を観ていると、「なるほどねえ」という思いが頭に去来するのです。(笑)

『Sami swoi』
『Sami swoi』のほかに、1970年に公開された『Rejs』というコメディーもあり、ポーランドの最優秀映画の一つだと言われています。『Rejs』は、一人の男が遊覧船に乗ろうとして、いろいろなトリックを使って料金を払わずに済むのですが、船長に乗船客を楽しませる人だと誤解されてしまうという滑稽な話です。映画の中で特に有名なのは、一人の乗船客がポーランド映画と西欧映画を比べているが、具体的な理由をあまりあげないで、ポーランド映画を厳しく批判しているという場面です。やはりポーランド人たちは自分の国のことについて文句を言いがちなので、この場面は自虐的ユーモアに満ちています。また、『Rejs』はコメディだといっても、裏にはさまざまな隠喩を使って共産主義を批判したものなので、当時の政権に対する反抗の象徴となりました。


『Rejs』
共産主義の批判を取り上げたものには、Andrzej Wajdaが1976年に監督し、日本でも映画館上演された『Człowiek z marmuru』(大理石の男)という映画もあります。その中では、映画学校の女子学生はスターリン時代の労働英雄の姿をテーマにして卒業課題の映画を作ろうとしており、困難や危険にもかかわらず、情熱と力を込めて、絶えずその男の真実を探っています。始めは、その男の人生は謎のように見えますが、彼女の努力のおかげで、次第にそれが明らかになり、観客は共産主義の恐ろしさに直面した人間の悲劇がわかるようになります。『Człowiek z marmuru』は一般のポーランド人が毎日接した苦しい現実を描写した映画ですが、この作品が残る印象は本当に強いです。このような映画学校の学生の努力や昔の労働英雄の人生を見ると、共産主義の現実で存在するために、人間がきりのない我慢強さを強いられたということが明らかですが、こんな状況の中でもあきらめなかったのはやはりポーランド人です。


『Człowiek z marmuru』(大理石の男)

日本人の皆さん。以上の作品は私が考える「ポーランドの心」を表す映画の例ですが、もし機会があれば、ぜひこれらを御覧になってください。たぶんそのおかげで、ポーランド人に会ったら、彼・彼女の心をよりよく理解し、コミュニケーションがうまく取れるようになるでしょう。(笑)

ミハウ